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家主居住型で離れを民泊に|委託が不要になる2つの条件

「母屋に住んだまま、使っていない離れを民泊にできないだろうか」

「自分が近くにいるのだから、わざわざ管理会社に頼まなくてもよさそうだが」

もしあなたがそう考えているならば、その見立ては条件つきで正しいです。住宅宿泊管理業者への委託が不要になるのは、次の2つを両方満たすときです。

ひとつは、自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が同一の建築物もしくは敷地内にあるとき、または隣接しているとき。ただし騒音等を認識できない場合は除かれます。もうひとつは、自ら管理業務を行う居室の数の合計が5以下であるときです。

母屋と離れが同じ敷地にあり、離れで起きたことに気づける距離で、居室が5以下。この形なら、管理を外部に委託せず、自分で運営できます。

ただし、委託が不要になることと、業務がなくなることは別です。もうひとつ押さえておくべき数字があります。「不在」の線引きは原則1時間。生活必需品の購入等は一時的な不在として扱われますが、その目安が示されています。

つまり家主居住型とは、宿泊者がいる間、原則として自宅を空けないという前提で成り立つ形態だということです。ここを知らずに始めると、想定と違ってきます。

この記事では、平均稼働率89%・630室の運営実績をもとに、離れを民泊にする際の条件と、家主居住型で自分に残る業務を、国土交通省・観光庁の一次情報から整理します。

敷地内の使っていない建物を活かしたい方は、ぜひご覧ください。

委託が不要になる2つの条件

まず、どういう場合に住宅宿泊管理業者への委託が要らなくなるのかを正確に押さえます。

民泊制度ポータルサイトでは、次の両方を満たす場合に委託が不要とされています。

  • 住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が同一の建築物もしくは敷地内にあるとき、又は隣接しているとき(ただし騒音等を認識できない場合は除く)
  • 届出住宅の居室であって、それに係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行うものの数の合計が5以下であるとき

出典:管理業務の委託について(民泊制度ポータルサイト|国土交通省・観光庁)

母屋と離れは、条件のひとつ目に当てはまります

母屋に住みながら同じ敷地の離れを貸すという形は、同一の敷地内に該当します。条文が想定している典型的なケースのひとつです。

建物が分かれていること自体は問題になりません。同一の建築物「もしくは」敷地内、または隣接している場合と並べて書かれているためです。

ただし「騒音等を認識できること」が前提です

ここに但し書きがあります。同ページでは、敷地が広範であるためそれぞれの住戸の距離が著しく離れている場合その他の自己の生活の本拠にいながら届出住宅で発生する騒音等を認識できないことが明らかである場合には、委託が必要とされています。

同じ敷地であっても、広い土地で母屋と離れが大きく離れていれば、この但し書きに当たる可能性があります。距離そのものより、気づけるかどうかが判断の軸になっています。

自分のケースがどちらに当たるかは、物件所在地の自治体の住宅宿泊事業担当窓口で確認してください。

もうひとつの条件は「自ら管理する居室が5以下」です

離れが1棟で、居室が数室という規模であれば、通常はこの条件に収まります。

注意したいのは、敷地内に複数の離れがある場合や、将来的に棟を増やす場合です。自ら管理する居室の合計が5を超えると、委託が必要になります。計画の段階で居室数を数えておいてください。

「不在」の線引きは原則1時間です

家主居住型を選ぶうえで、もっとも実務に効くのがこの点です。

買い物などの一時的な不在は認められています

民泊制度ポータルサイトでは、「不在」とは住宅宿泊事業者が届出住宅を不在にすることをいうとしたうえで、日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在は除くとされています。

具体例として生活必需品の購入等が挙げられ、これは一時的な不在に該当するとされています。

示されている目安

  • 原則1時間
  • 生活必需品を購入するための最寄り店舗の位置や交通手段の状況等により、当該行為が長時間にわたることが想定される場合には、2時間程度までの範囲

出典:管理業務の委託について(民泊制度ポータルサイト)

買い物で1時間、事情によっては2時間程度。これが「不在にならない」と扱われる範囲です。

この数字が、家主居住型を選べるかどうかを決めます

宿泊者を受け入れている日に、日中フルタイムで外出する。旅行に出る。こうした予定があると、その日は家主不在型になります。家主居住型は「近くに住んでいる」ではなく「宿泊者がいる間は家にいる」形態です。

離れを貸す計画を立てるときは、まず自分の生活のほうを見てください。宿泊者がいる日に在宅していられるか。ここが成り立たないなら、委託を前提にした計画へ切り替えたほうが早いです。

離れを届け出るときの設備の考え方

住宅宿泊事業を行える「住宅」には、台所・浴室・便所・洗面設備の4つが設けられている必要があります。設備は届出住宅に設けられている必要があり、公衆浴場等での代替は認められません。

離れにこの4設備が揃っていない場合に効いてくる規定があります。民泊制度ポータルサイトでは、同一の敷地内の建物について一体的に使用する権限があり、各建物に設けられた設備がそれぞれ使用可能な状態であれば、複数棟の建物を一の「住宅」として届け出ることが可能とされています。

出典:対象となる住宅(民泊制度ポータルサイト)

母屋と離れを一の住宅として届け出る形が取れるかどうかで、必要な工事の量が変わります。離れに浴室を新設するのか、それとも一体で届け出るのか。改修の見積もりを取る前に、この届出の単位を窓口で確認してください。

なお4設備の解釈には幅があります。浴室は浴槽が無くてもシャワーがあれば足り、便所は和式・洋式を問わず、ユニットバス等も認められます。

委託が不要でも、業務そのものは残ります

ここを取り違えると、想定より負担が重くなります。委託しないということは、住宅宿泊事業者に課されている業務を全部自分でやるということです。

主なものを挙げます。

  • 宿泊者への説明(騒音防止・ごみの処理・火災防止)
  • 周辺住民からの苦情への対応。深夜早朝を問わず、常時、応答または電話により対応する必要があります
  • 標識の掲示。門扉・玄関等の概ね地上1.2メートル以上1.8メートル以下の位置に
  • 宿泊者名簿の備付け。氏名・住所・職業・国籍、日本以外の国籍は旅券番号が入力必須
  • 2か月ごとの定期報告。宿泊させた日数・宿泊者数・延べ宿泊者数・国籍別の内訳

離れが隣にあるぶん、苦情対応の初動は取りやすい形です。一方で、名簿の作成と2か月ごとの報告は、隣にいるかどうかとは関係なく発生します。

委託しない選択は、管理料がかからない代わりに、これらを自分の時間で担うという選択です。どちらが合うかは、貸し出す頻度と自分の生活次第です。

まとめ

母屋に住みながら離れを民泊にする場合の要点を整理します。

  • 住宅宿泊管理業者への委託が不要になるのは、生活の本拠と届出住宅が同一の建築物もしくは敷地内、または隣接していて、かつ自ら管理する居室の合計が5以下のとき
  • ただし騒音等を認識できないことが明らかな場合は委託が必要。敷地が広く著しく離れているケースが例に挙げられている
  • 「不在」の目安は原則1時間、事情により2時間程度まで。宿泊者がいる間は在宅している前提の形態
  • 設備は台所・浴室・便所・洗面設備の4つ。同一敷地内の複数棟を一の住宅として届け出る方法もある
  • 委託が不要でも、説明・苦情対応・標識・名簿・定期報告の業務は残る

離れの活用でつまずきやすいのは、「近くに住んでいるから大丈夫」と考えてしまうことです。制度が見ているのは距離ではなく、気づけるかどうかと、宿泊者がいる間に家にいるかどうかでした。

届出の単位や騒音等を認識できるかの判断は、物件ごとに変わります。自治体の住宅宿泊事業担当窓口で、必ず最新の取り扱いを確認してください。

自分で運営するか、委託するか。離れの位置や貸し出す頻度、ご自身の生活によって答えは変わります。判断がつかないところはお気軽にご相談ください。平均稼働率89%・630室の運営を通じて見てきた実務の観点から、確認すべき点をお伝えします。

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