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管理規約で民泊が禁止|確認の手順と規約変更の要件

「管理規約を見たら、民泊は禁止と書いてあった」

「もう諦めるしかないのだろうか」

もしあなたがそう考えているならば、確認すべきことが2つあります。規約が何を禁止しているのか、そして変更できる余地があるのか、です。

国土交通省のマンション標準管理規約には、住宅宿泊事業について3つの規定例が示されています。可能とする場合、禁止する場合、そして使用細則に委任する場合です。3つ目なら、規約ではなく細則を見ることになります。

さらに、「民泊禁止」という言葉が何を指しているかで話が変わります。標準管理規約のコメントでは、旅館業法の簡易宿所の許可を得て行う民泊について、通常は「専ら住宅として使用」の用途に含まれていないと考えられるとされています。住宅宿泊事業法の民泊を禁じる条項と、簡易宿所の可否は別の話です。

そして変更の余地についてです。規約の設定・変更・廃止は、集会において区分所有者の過半数であって議決権の過半数を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による決議によって行います。

「全区分所有者の4分の3」ではなく「出席者の4分の3」です。この違いは、実際に決議を通せるかどうかを大きく左右します。

この記事では、平均稼働率89%・630室の運営実績をもとに、規約の読み方と、禁止されていた場合に打てる手を整理します。

マンションの一室で民泊を検討している方は、ぜひご覧ください。

標準管理規約には3つの規定例があります

まず、自分のマンションの規約がどのパターンかを見分けます。国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)では、第12条(専有部分の用途)について次の規定例が示されています。

(ア)住宅宿泊事業を可能とする場合

第12条第2項として、区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。

(イ)住宅宿泊事業を禁止する場合

第12条第2項として、区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。

使用細則に委任する場合

第12条第2項として、区分所有者が、その専有部分を住宅宿泊事業に使用することを可能とするか否かについては、使用細則に定めることができるものとする。

出典:住宅宿泊事業に伴う「マンション標準管理規約」の改正について(国土交通省)

3つ目のパターンなら、規約に書かれていなくても使用細則で決まっている可能性があります。規約だけを見て判断しないでください。

家主居住型に限って可能とするケースもあります

標準管理規約のコメントでは、一定の態様の住宅宿泊事業のみを可能とすることも考えられ、その場合は規約に明記すべきとされています。例として、住宅宿泊事業者が同じマンション内に居住している住民である等のいわゆる家主居住型の住宅宿泊事業に限り可能とするケースが挙げられています。

規約を読むときは「可否」だけでなく、条件付きの許可になっていないかも確認してください。家主居住型と不在型の違いについては家主居住型で離れを民泊に|委託が不要になる2つの条件で整理しています。

「民泊禁止」が何を指しているか

ここは読み違えやすいところです。

簡易宿所は、そもそも別扱いと考えられています

標準管理規約のコメントには次の整理があります。

旅館業法第3条第1項の簡易宿所の許可を得て行う「民泊」については、旅館業営業として行われるものであり、通常は第1項の用途に含まれていないと考えられるため、可能としたい場合には、その旨を明記することが望ましい。

第1項とは「専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」という条項です。つまり簡易宿所は、禁止条項がなくても「住宅としての使用」に含まれないと解される可能性があります。

住宅宿泊事業法の民泊が禁止されているからといって、旅館業法の許可を取れば回避できる、という話にはなりません。むしろ逆で、簡易宿所として行うなら、可能とする旨が明記されている必要があります。

旅館業法の営業種別についてはペンション・民宿の開業|旅館業法の許可と種別の選び方をご覧ください。

違法な事業は、書かれていなくても禁止です

同じコメントには、旅館業法や住宅宿泊事業法に違反して行われる事業は、管理規約に明記するまでもなく、当然に禁止されているとの趣旨であると示されています。

広告や募集まで禁止されている場合があります

禁止する場合の規定例について、コメントはこう補足しています。住宅宿泊事業の実施そのものだけでなく、その前段階の広告掲載等をも禁止する旨を明確に規定するため、「区分所有者は、前2項に違反する用途で使用することを内容とする広告の掲載その他の募集又は勧誘を行ってはならない。」のような規定を置くこともあり得るとされています。

この条項があるマンションでは、掲載サイトに載せる段階で規約違反になります。「とりあえず募集だけ」は成り立ちません。

規約に何も書かれていない場合

禁止条項がないなら自由にできる、とはなりません。

住宅宿泊事業の届出では、区分所有建物の場合に規約の写しが必要で、規約に住宅宿泊事業の定めがない場合は、管理組合に禁止する意思がないことを証する書類が求められます。

出典:届出の際の添付書類について(民泊制度ポータルサイト|国土交通省・観光庁)

つまり黙って始めることはできず、管理組合への確認が手続き上必要です。届出に必要な書類の全体像は民泊の保健所への事前相談|聞かれることと持参するものにまとめています。

禁止されていた場合に打てる手

ここからが本題です。規約で禁止されていても、変更の道は閉じていません。

規約変更の決議要件

建物の区分所有等に関する法律第31条第1項は次のとおりです。

規約の設定、変更又は廃止は、集会において、区分所有者の過半数であつて議決権の過半数を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議によつてする。

あわせて、規約の変更が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならないとされています。

出典:建物の区分所有等に関する法律(e-Gov法令検索)

「全体の4分の3」ではありません

ここが実務上の要点です。条文は出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上と定めています。前提として、区分所有者の過半数であって議決権の過半数を有するものの出席という定足数があります。

全区分所有者の4分の3を集める必要はなく、定足数を満たした集会で出席者の4分の3を得れば足ります。大規模なマンションほど、この違いは大きく効きます。

古い解説と食い違って見えることがあります

この形は令和8年4月1日施行の改正によるものです。それ以前に書かれた解説では「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」と説明されていることが多く、他のサイトで古い記述を見かけることがあります。

同じ改正は共用部分の変更(第17条)にも及んでおり、決議要件を出席者ベースに改めるものです。規約変更だけの例外ではありません。

ただし、最新の条文と自分のマンションの規約の定めを必ず確認してください。規約で別段の定めが置かれている場合もあります。

使用細則に委任されている場合

規約が「使用細則に定めることができる」としているなら、変更の対象は細則です。細則の変更手続きは規約に定められているのが通常で、規約変更より軽い要件になっていることがあります。まず規約を読んで、細則の改正手続きがどう定められているかを確認してください。

現実的な進め方

  • 規約と使用細則の両方を入手して、どのパターンか特定する
  • 禁止の理由を把握する。騒音・防犯・ごみといった懸念が背景にあることが多い
  • 条件付きの許可を提案する。家主居住型に限る、という規定例が標準管理規約のコメントに示されている
  • 管理会社・理事会に相談し、議案として取り上げてもらう
  • 総会のスケジュールを確認する。年1回が通常なので、逆算して動く

全面解禁を求めるより、態様を限定した提案のほうが通りやすいのは、標準管理規約自体がその選択肢を想定しているからです。

やってはいけないこと

  • 規約に禁止条項があるのに届出を進めること。届出には規約の写しが必要です
  • 広告・募集の禁止条項がある場合に、掲載サイトへ先に載せること
  • 規約に書かれていないことを理由に、管理組合へ確認せず進めること

なお、自分で申請を進める場合、管理組合の確認は自分の作業スピードでは動かせない工程になります。この点は民泊の申請を自分で|できる範囲と手が止まる箇所で扱っています。

まとめ

管理規約と民泊について、押さえておきたい点を整理します。

  • 標準管理規約には可能とする場合・禁止する場合・使用細則に委任する場合の3つの規定例がある。規約だけでなく使用細則も確認する
  • 家主居住型に限り可能とするケースも規定例として示されている
  • 簡易宿所(旅館業)は通常「専ら住宅として使用」の用途に含まれていないと考えられる。可能としたいなら明記が必要
  • 違法な事業は、規約に明記するまでもなく当然に禁止
  • 禁止の規定には、広告の掲載その他の募集又は勧誘まで及ぶものがある
  • 規約に定めがない場合も、届出には管理組合に禁止する意思がないことを証する書類が必要
  • 規約変更は、定足数を満たした集会で出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数による決議。この形は令和8年4月1日施行の改正によるもので、それ以前の解説とは食い違う

「民泊禁止」の4文字を見て諦める前に、規約と使用細則の原本を読んでください。何が禁止されているのか、条件付きの余地はあるのか、変更の手続きはどうなっているのか。この3つが分かれば、打てる手があるかどうかが判断できます。

本記事は2026年9月時点の情報です。法令は改正されます。規約変更の具体的な手続きは、管理組合の規約と最新の法令にもとづいて、管理会社や専門家に確認してください。

規約の読み方や、管理組合にどう提案するか。物件の状況によって現実的な進め方は変わります。判断がつかないところはお気軽にご相談ください。平均稼働率89%・630室の運営を通じて見てきた実務の観点から、確認すべき点をお伝えします。

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