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貸別荘の運営代行は1社に全部委託|制度と選び方

「貸別荘の運営代行って、結局どこまでやってくれるのか」

「清掃だけ頼んで、あとは自分で。そんな組み方ができれば安く済むのだが」

もしあなたがそう考えているならば、先にお伝えしておくことがあります。住宅宿泊事業法にもとづく民泊として貸別荘を運営する場合、管理業務は全部まとめて1社に委託するのが法律上の原則です。

国土交通省・観光庁の民泊制度ポータルサイトでは、住宅宿泊管理業務の全部を契約により委託する必要があり、委託先は一の住宅宿泊管理業者でなければならないとされています。「清掃はA社、ゲスト対応はB社、申請だけC社」という切り分けは、制度上できません。

だから比較すべきなのは「どこまでやってくれるか」ではありません。その1社で完結するかどうかです。業務範囲の一覧を並べて見比べる作業は、実はあまり意味を持ちません。全部やるのが前提だからです。

そしてもう一つ、見落とされやすい条件があります。委託が義務になるのは家主不在型だけではありません。居室数が5を超える場合も対象です。複数棟を建てる計画なら、自分が現地にいるかどうかに関係なく委託義務がかかる可能性があります。

ただし、どの会社でもよいわけではありません。国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者であること、住宅宿泊管理受託標準契約書を踏まえた契約であること、そして自己利用の予定を織り込めること。この3つを満たす必要があります。

この記事では、平均稼働率89%・630室の運営実績をもとに、貸別荘の運営代行をめぐる制度の枠組みと、契約前に確認すべき点を国土交通省の一次情報にあたりながら整理します。

使わない期間だけ貸し出したい、けれど手間はかけたくない。そうお考えの方はぜひご覧ください。

貸別荘の運営代行は「全部まとめて1社」が原則です

まず、制度の前提を押さえます。

一部だけの委託は原則として認められません

民泊制度ポータルサイトでは、住宅宿泊管理業務について全部を契約により委託する必要があるとされており、一部委託は原則不可とされています。

出典:管理業務の委託について(民泊制度ポータルサイト|国土交通省・観光庁)

「繁忙期だけ頼みたい」「清掃は地元の業者と直接契約したい」という組み方を検討される方は多いのですが、住宅宿泊事業法にもとづく運営ではこの形が取れません。

委託先は「一の住宅宿泊管理業者」に限られます

同ページでは、一の住宅宿泊管理業者に委託しなくてはならずと示されています。複数社に分散させることはできないということです。

これは運営代行会社を選ぶうえで決定的です。1社に全部を預けるのですから、その1社が弱い領域を持っていると、そこがそのまま運営の弱点になります。

受託した会社から他者への再委託は認められています

一方で、受託した住宅宿泊管理業者が業務の一部を他者に再委託することは認められています。

つまり実務上は、契約相手は1社でありながら、清掃は地元の協力会社が担うといった体制はあり得ます。確認すべきは「再委託先がどこで、その品質を誰が担保するのか」です。契約前に聞いておくべき点の一つになります。

委託が義務になるのは2つの場合

委託義務は、家主不在型だけの話ではありません。

次のいずれかに該当すると委託が必須になります

  • 居室数が5を超える場合
  • 宿泊者がいる間に事業者が不在となる場合(日常生活の通常行為に要する時間を除く)

出典:管理業務の委託について(民泊制度ポータルサイト)

除外される条件もあります

同一建築物内や隣接地に本拠を置く場合で、自ら騒音等を認識でき、かつ自ら管理する居室が5以下であれば除外されるとされています。

別荘の隣に自宅があるというケースは限られますから、貸別荘の運営では、委託義務がかかる前提で計画を立てておくのが現実的です。

なお、居室数の数え方や除外規定の当てはまり方は物件ごとに判断が分かれます。具体的な適用は物件所在地の自治体の住宅宿泊事業担当窓口で確認してください。

委託する「管理業務」の中身

では、全部委託するその業務とは何を指すのか。

民泊制度ポータルサイトでは、法第5条から第10条までの規定による業務および住宅宿泊事業の適切な実施のために必要な届出住宅の維持保全に関する業務とされ、具体例として次が挙げられています。

  • 台所、浴室、便所、洗面設備の正常な機能の維持
  • 水道・電気などライフラインの管理
  • ドア・サッシなど設備の保全
  • 空室時の施錠確保と鍵の管理

集客やOTAの運用ばかりが語られがちですが、制度が求めているのは建物と設備を宿泊に耐える状態に保ち続けることです。

高額な設備を入れた貸別荘ほど、この維持保全の質が資産の傷み方を左右します。稼働率の話をする前に、ここをどう担保するのかを聞いておく価値があります。

委託先は「登録を受けた住宅宿泊管理業者」でなければなりません

ここは契約前に、あなた自身の目で確認できる項目です。

国土交通大臣の登録が必要です

住宅宿泊管理業を営もうとする者は、国土交通大臣への登録申請が必要です。登録は5年ごとに更新が必要とされ、新規の登録申請には登録免許税1件9万円の支払いが必要とされています。

出典:住宅宿泊管理業者の登録(民泊制度ポータルサイト)/住宅宿泊管理業について(国土交通省)

登録業者は名簿で照合できます

登録を受けた業者は、国土交通省が公表する住宅宿泊管理業者登録簿で確認できます。地方整備局ごとに公表されています。

営業の説明を聞く前に、名簿に載っているかを確かめる。これが、運営代行会社の選定でまず踏むべき手順です。5年ごとの更新が必要な制度ですから、登録が有効な状態かどうかも含めて確認してください。

契約は「住宅宿泊管理受託標準契約書」を基準に見る

国土交通省は、住宅宿泊事業法の施行にあわせて住宅宿泊管理受託標準契約書を策定しています。トラブルの防止等のため、この標準契約書の活用が推奨されています。

出典:「住宅宿泊管理受託標準契約書」を策定しました(国土交通省)

標準契約書に定められている主な事項

  • 管理業務の内容
  • 報酬
  • 契約期間
  • 解除
  • 再委託の扱い

提示された契約書がこの標準契約書からどう離れているのか。離れている箇所があるなら、なぜそうしているのか。この2点を聞くだけで、相手の姿勢はかなり見えます。

契約前と契約時に書面の交付が義務づけられています

管理受託契約の締結にあたっては、締結前および締結時に、委託者に対し必要事項を記載した書面を交付することが義務づけられています。

口頭の説明だけで話が進む、書面が契約当日にしか出てこない。こうした場合は、制度が求めている手順から外れている可能性があります。

自己利用と両立させたいなら、制度の選択から考える

貸別荘の場合、運営代行会社を選ぶ前に決めておくべきことがあります。どの制度で運営するかです。

住宅宿泊事業法には年間180日の上限があります

住宅宿泊事業法では、年間提供日数の上限は180日とされ、人を宿泊させる日数が180日を超えないものと定義されています。

出典:住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?(民泊制度ポータルサイト)

条例でさらに制限される場合があります

同法には地域の実情を反映する仕組みとして、条例による住宅宿泊事業の実施の制限が設けられています。区域や期間が制限されることがあるため、物件所在地の条例を必ず確認してください。

自己利用の日数を先に決めておくと、判断が早くなります

年間180日という上限があるということは、残りの日数は貸し出せないということでもあります。自分や家族が使いたい日数が年間のうちどれくらいかを先に決めておくと、この上限が制約になるのかどうかがはっきりします。

通年で貸し出したい場合は、旅館業法にもとづく許可など別の制度の検討が必要になります。どの制度を選ぶかで、必要な設備も委託の枠組みも変わりますので、保健所への事前相談を早めに行ってください。

運営代行会社を選ぶときに確認すること

ここまでを踏まえると、確認すべき点は絞られます。

  • 登録簿に載っているか。登録は有効な状態か
  • 全部委託を1社で受けられるか。受けられない領域があるなら、そこをどうするのか
  • 再委託先はどこか。品質を誰が担保するのか
  • 契約書は標準契約書を踏まえているか。離れている箇所の理由を説明できるか
  • 契約前と契約時に書面が交付されるか
  • 自己利用したい日の予約を止める運用が、契約上どう扱われるか
  • 設備の維持保全と、破損・汚損が起きたときの対応範囲がどこまでか

集客力や稼働率の話は、これらを確認したあとで聞けば十分です。1社に全部を預ける制度である以上、選定の失敗は運営全体の失敗に直結します。

まとめ

貸別荘の運営代行について、押さえておきたい点を整理します。

  • 住宅宿泊事業法にもとづく運営では、管理業務は全部を1社に委託するのが原則。一部委託は原則不可
  • 委託が義務になるのは、居室数が5を超える場合と、宿泊者がいる間に不在となる場合
  • 受託した会社から他者への再委託は認められている。誰が実務を担うのかを確認する
  • 委託先は国土交通大臣の登録を受けた住宅宿泊管理業者に限られ、登録簿で照合できる。登録は5年ごとの更新
  • 契約は住宅宿泊管理受託標準契約書を基準に見る。締結前と締結時の書面交付は義務
  • 年間提供日数の上限は180日。条例でさらに制限される場合がある

運営代行会社の比較表を何枚も見比べても決め手が出てこないのは、業務範囲で差がつく制度になっていないからです。差がつくのは、登録の有無、全部を引き受けられる体制、再委託先の質、そして契約の作り方です。

制度の適用は物件の所在地や条件によって変わります。自治体の住宅宿泊事業担当窓口と保健所で、必ず最新の取り扱いを確認してください。

複数棟の運営や、自己利用と両立させる形での委託については、私たちにもご相談いただけます。平均稼働率89%・630室の運営を通じて見てきた実務の観点から、契約前に確認すべき点をお伝えします。

物件の条件によって、必要な手続きも確認先も変わります。ご自身の物件で何が要るのか、判断がつかないところはお気軽にご相談ください。平均稼働率89%・630室の運営を通じて見てきた実務の観点から、確認すべき点をお伝えします。

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