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民泊の180日を超えたら|指導の流れと新規予約の停止

「民泊の180日を超えたら、実際どうなるのだろう」

「少しくらいなら、誰にも分からないのではないか」

もしあなたがそう考えているならば、把握の仕組みから知っておく必要があります。観光庁は、住宅宿泊仲介業者等が取り扱う届出住宅の営業日数を自動的に集計し、営業日数を適宜把握できる機能を有するシステムを運用しています。

加えて、仲介業者は毎年4月15日までに前年度分を観光庁に報告することとされています。180日を超過していないかを補完的に確認するための仕組みです。

超過が確認されると、都道府県知事等から事業者へ確認が入ります。そのうえで旅館業法違反とされる場合には、予約のキャンセルや新規予約の停止を自ら手続きするよう指導が行われ、最終的には仲介サイト側で当該年度中の新規予約募集が停止されます。

そしてもうひとつ、見落とされやすい点があります。180日は「人」ではなく「住宅」に付きます。事業者が変わっても、同じ届出住宅の日数は通算されます。

数え方にも細かな決まりがあります。期間は毎年4月1日正午から翌年4月1日正午まで。同じ日に複数グループが泊まっても1日、日付をまたがない短時間の利用でも1日です。

この記事では、平均稼働率89%・630室の運営実績をもとに、日数の正確な数え方と、超えたときに実際に起きることを、国土交通省・観光庁の一次情報から整理します。

年度の後半で日数が気になってきた方、これから物件を引き継ぐ方は、ぜひご覧ください。

まず、180日の数え方を正確に

超過を避けるには、数え方を誤らないことが出発点です。

期間は「4月1日正午から翌年4月1日正午まで」

住宅宿泊事業法施行規則第三条は次のとおりです。

法第二条第三項の国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数は、毎年四月一日正午から翌年四月一日正午までの期間において人を宿泊させた日数とする。この場合において、正午から翌日の正午までの期間を一日とする。

出典:住宅宿泊事業法施行規則(e-Gov法令検索)

暦年ではありません。4月1日の正午が区切りで、1日の区切りも正午です。

数えるのは「実際に宿泊させた日数」です

住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)では、日数の算定について、宿泊料を受けて届出住宅に実際に人を宿泊させた日数について算定するのであって、宿泊料を受けた日数や宿泊者を募集した日数ではないとされています。

出典:住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)令和6年12月24日最終改正(国土交通省・観光庁)

同じ日は何組泊まっても1日です

ガイドラインには、次の整理が示されています。

  • 日数は届出住宅ごとに算定するため、複数の宿泊グループが同一日に宿泊していても、複数日ではなく1日
  • 複数の住戸や複数棟の建物を一つの届出住宅として届け出ている場合、いずれかの建物に人を宿泊させた場合は1日
  • 宿泊させた実績があるのであれば、短期間であるかどうか、日付を超えているかどうかは問わず1日

3つ目に注意してください。日帰りの短時間利用であっても、宿泊料を受けて宿泊させた実績があれば1日として数えられます。

逆に、複数棟をまとめて一つの届出住宅としている場合は、どの棟に泊まっても1日です。棟数を増やしても日数の消費は増えません。この届出の単位については家主居住型で離れを民泊に|委託が不要になる2つの条件でも触れています。

日数に算定しないケース

ガイドラインでは、次の場合に都道府県知事等が認めるときは日数に算定しないとされています。

  • 宿泊者が予約日に現れない、いわゆるno-show(宿泊者の当日キャンセル)
  • 宿泊者ごとの滞在期間が長期間(目安:1ヶ月以上)となることにより、宿泊サービス提供契約ではなく賃貸借契約を締結した場合

ただし重要な但し書きがあります。宿泊サービス提供契約による滞在期間が結果的に1ヶ月以上となった場合、宿泊日数の不正計上防止のため、後から遡及的に賃貸借契約に切り替えることは認めないとされています。

賃貸借契約を結ぶ場合は、宿泊サービスの提供前に契約を行っておく必要があります。長期滞在になりそうだから後で切り替える、という運用は通りません。

180日は「住宅」に付きます

ここが、物件を取得する方にとって決定的な論点です。

ガイドラインでは、「人を宿泊させた日数」について次のように示されています。

住宅宿泊事業者ごとではなく、法第3条に基づく届出がされた住宅ごとに算定するものであり、住宅宿泊事業者の変更等があったとしても、国・厚規則第3条に規定する期間内において人を宿泊させた日数は通算する。

引き継いだ時点で、日数も引き継ぎます

前のオーナーがその年度にすでに150日営業していれば、引き継いだ側が使えるのは残り30日です。名義が変わっても日数はリセットされません。

ガイドラインは、新たに営もうとする者に対してこう求めています。

当該期間における当該住宅の宿泊実績について、届出先の都道府県又は保健所設置市等に確認する等の対応を自ら講じることにより、意図せずに法令に違反することのないよう努めるものとする。

売主や前の事業者から聞くだけでなく、届出先の窓口に確認することが求められています。物件の売買や事業承継を検討しているなら、契約前にこの確認を組み込んでください。

超えたら、実際に何が起きるか

ここからが本題です。超過は把握される仕組みになっています。

観光庁のシステムが営業日数を自動集計しています

ガイドラインでは、観光庁において住宅宿泊仲介業者等が取り扱う届出住宅の営業日数を自動的に集計し、営業日数を適宜把握できる機能を有するシステムを運用しているとされています。

あわせて仲介業者等には、180日を超過していないか、条例で制限がある場合に禁止されている期間に営業が行われていないかを補完的に確認するため、毎年4月15日までに前年度分を観光庁に報告することが求められています。

超過後の流れ

ガイドラインが示す流れは次のとおりです。

  • システム上、営業日数180日を超過した届出住宅について、都道府県知事等から当該届出住宅の住宅宿泊事業者へ確認
  • 確認の結果、営業日数が180日を超過し、都道府県知事等が旅館業法違反とする場合には、住宅宿泊事業者自らが仲介サイト上の予約のキャンセルや新規予約の停止を手続きするよう都道府県知事等から指導
  • 指導後、都道府県知事等の要請に応じて、観光庁が当該届出住宅の新規予約受付停止を住宅宿泊仲介業者等へ要請
  • 仲介業者等は当該年度中の新規予約募集を停止する措置を講ずる

注目すべきは「旅館業法違反とする場合」という表現です。180日を超えた時点で、その営業は住宅宿泊事業の枠から外れます。許可なく旅館業を営んでいる状態として扱われうる、という整理になっています。

そして実害として先に来るのは、その年度中、新規予約を受け付けられなくなることです。すでに入っている予約のキャンセル手続きまで求められます。

住宅宿泊事業法の罰則

参考までに、住宅宿泊事業者に関する罰則を挙げます。

  • 懲役6月以下または罰金100万円以下:虚偽届出、業務廃止命令違反
  • 罰金50万円以下:管理業者・仲介業者への委託義務違反
  • 罰金30万円以下:変更届出未提出、名簿・標識義務違反、定期報告未実施、改善命令違反など
  • 過料20万円以下:事業廃止届未提出

出典:住宅宿泊事業者 その他留意事項(民泊制度ポータルサイト)

日数の管理を支えているのが定期報告です。2か月ごとに宿泊させた日数等を報告する仕組みで、未実施は罰金の対象に挙げられています。報告の中身は民泊のサイトコントローラー|必要な場面と選び方の軸で整理しています。

超えそうなときに取れる選択肢

年度の途中で日数が足りなくなりそうだと分かった場合、打てる手は限られます。

  • 予約の受付を調整する。残日数を把握したうえで、年度末までの販売を止める
  • 制度を変える。通年で営業したいなら、旅館業法にもとづく許可の検討になります

旅館業法の許可には180日の上限がありません。ただし構造設備基準への適合と許可が必要で、立地の制限もあります。詳しくはペンション・民宿の開業|旅館業法の許可と種別の選び方をご覧ください。

なお、条例で営業できる区域や期間がさらに制限される可能性もあります。2026年7月の通知を受けた状況は民泊の規制緩和|緩んだ点と2026年7月の新通知を解説で扱っています。

まとめ

180日をめぐる要点を整理します。

  • 期間は毎年4月1日正午から翌年4月1日正午まで。正午から翌日の正午までを1日とする
  • 数えるのは実際に宿泊させた日数。募集した日数でも宿泊料を受けた日数でもない
  • 同一日は何組泊まっても1日。複数棟を一つの届出住宅としている場合もいずれかに泊まれば1日。日付をまたがない短時間の利用でも1日
  • no-showや1ヶ月以上の賃貸借契約は算定しないことがあるが、後から遡及的に賃貸借契約へ切り替えることは認められない
  • 日数は住宅ごとに通算。事業者が変わってもリセットされない。引き継ぐ側は届出先に確認する
  • 観光庁がシステムで営業日数を自動集計。仲介業者は毎年4月15日までに前年度分を報告
  • 超過すると都道府県知事等から確認・指導が入り、当該年度中の新規予約募集が停止される

180日という数字そのものより、扱いを誤りやすいのは数え方と引き継ぎです。短時間の利用も1日に数えられ、前の事業者の実績は通算される。この2点を知らないまま運営すると、把握しているつもりの残日数と実際がずれます。

本記事は2026年9月時点の情報です。条例による上乗せは自治体ごとに異なります。物件所在地の自治体の住宅宿泊事業担当窓口で、必ず最新の取り扱いを確認してください。

残日数の管理や、通年営業へ切り替えるべきかの判断は、物件の条件によって変わります。判断がつかないところはお気軽にご相談ください。平均稼働率89%・630室の運営を通じて見てきた実務の観点から、確認すべき点をお伝えします。

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