民泊の業許可|届出・許可・認定のどれが必要かを整理
「民泊を始めるには、業許可というものが要るらしい」
「調べていると、届出だと書いてあるサイトもある。どちらが正しいのか」
もしあなたがそう考えているならば、どちらも正しいです。「民泊」と呼ばれているものには3つの制度があり、手続きの種類がそれぞれ違います。
国土交通省・観光庁の民泊制度ポータルサイトでは、次のように整理されています。住宅宿泊事業法は届出、旅館業法は許可、国家戦略特区法(特区民泊)は認定です。
つまり「業許可」という言葉が当てはまるのは、旅館業法で進める場合です。住宅宿泊事業法で進めるなら許可ではなく届出になります。
さらに混乱を招くものがあります。登録です。住宅宿泊管理業者と住宅宿泊仲介業者は登録制ですが、これはオーナーが取るものではなく、委託先の事業者が持っているべきものです。
届出書に「管理業者の登録番号」を書く欄があるため、自分が登録を取るのかと誤解されることがあります。そうではありません。
この記事では、平均稼働率89%・630室の運営実績をもとに、4つの言葉の使い分けと、自分の場合はどれに当たるのかを整理します。
何を申請すればよいのか分からなくなっている方は、ぜひご覧ください。
3つの制度と、それぞれの手続き
民泊制度ポータルサイトの整理は次のとおりです。
| 制度 | 手続きの種類 | 所管 |
|---|---|---|
| 住宅宿泊事業法(民泊新法) | 届出 | 国土交通省、厚生労働省、観光庁 |
| 旅館業法(簡易宿所など) | 許可 | 厚生労働省 |
| 国家戦略特区法(特区民泊) | 認定 | 内閣府(厚生労働省) |
出典:はじめに「民泊」とは(民泊制度ポータルサイト|国土交通省・観光庁)
「業許可」という言い方が正確に当てはまるのは、旅館業法の場合だけです。検索でこの言葉にたどり着いた方の多くは、実際には住宅宿泊事業法の届出を調べています。
住宅宿泊事業法は「届出」です
住宅宿泊事業法にもとづく民泊は、許可ではなく届出です。届出は原則として民泊制度運営システムを利用して行います。
ただし届出だから簡単、とは限りません。
- その家屋が法律上の「住宅」に該当する必要があります
- 年間提供日数の上限は180日です
- 添付書類は個人で12点、法人はさらに3点
- 家主不在型または居室数が5を超える場合、登録を受けた住宅宿泊管理業者への委託が必要です
届出に必要な書類と手順は民泊の申請を自分で|できる範囲と手が止まる箇所に、設備の要件は民泊に必要な設備は4つ|消防・建築の要件と確認先にまとめています。
180日の数え方と超過した場合の扱いは民泊の180日を超えたら|指導の流れと新規予約の停止で扱っています。
旅館業法は「許可」です
ここが本来の「業許可」です。
旅館業法の営業種別は旅館・ホテル営業、簡易宿所営業、下宿営業の3つで、住宅を使う形なら簡易宿所営業を選ぶのが一般的です。許可権者は都道府県知事、または保健所設置市の市長、特別区の区長です。
届出との違いは手続きの重さに表れます。
- 流れは事前相談→許可申請→施設検査→許可
- 施設検査では保健所職員等による立入検査が行われます
- 構造設備基準への適合が必要で、基準の一部は都道府県等が条例で定めます
- 学校や児童福祉施設等の敷地の周囲おおむね100メートルの区域内では、許可を得られないことがあります
一方で年間180日という上限はありません。通年で営業したいなら、こちらを検討することになります。
詳しくはペンション・民宿の開業|旅館業法の許可と種別の選び方をご覧ください。
特区民泊は「認定」です
国家戦略特別区域法にもとづく旅館業法の特例です。手続きは届出でも許可でもなく認定で、所管は内閣府(厚生労働省)です。
民泊制度ポータルサイトでは、施設を一定期間以上使用させることなど、政令で定める要件に該当することが必要とされています。実施できるのは国家戦略特区の区域として指定された地域に限られ、東京都大田区や大阪府・大阪市などが挙げられています。
まず自分の物件が特区の区域内にあるかどうかです。区域外であれば、この選択肢は最初から外れます。
「登録」は事業者側の話です
ここが最も混同されやすい部分です。
民泊制度ポータルサイトの整理では、住宅宿泊管理業者と住宅宿泊仲介業者は、いずれも住宅宿泊事業法にもとづく登録制とされています。
オーナーが取るものではありません
物件を貸し出すオーナー(住宅宿泊事業者)が行うのは届出です。登録は、その管理業務を受託する会社や、宿泊者との仲介を行うサイト運営者が受けるものです。
混乱が起きるのは、届出書に委託先の住宅宿泊管理業者の登録年月日、登録番号を記載する欄があるためです。これは自分の番号ではなく、委託先が持っている番号です。
だから、委託先の登録を確認します
家主不在型で管理を委託する場合、相手が登録を受けた住宅宿泊管理業者でなければ、そもそも委託できません。登録業者は国土交通省が公表する住宅宿泊管理業者登録簿で確認できます。
なお、登録と民間の認定資格は別物です。この点は民泊適正管理主任者とは|民間資格と法律上の要件の違いで整理しています。
自分はどれに当たるのか
判断の順番はこうなります。
- 物件が国家戦略特区の区域内か。区域外なら特区民泊は選べません
- 年間180日で足りるか。通年で営業したいなら旅館業法の許可を検討します
- その家屋が法律上の「住宅」に該当するか。該当しなければ住宅宿泊事業法の届出はできません
- 立地の制限に当たらないか。旅館業法なら学校等の周囲おおむね100メートル、住宅宿泊事業法なら条例による区域・期間の制限
この4つで、選べる制度が絞られます。「許可を取る方法」を調べる前に、自分が許可の世界にいるのか届出の世界にいるのかを確定させてください。
まとめ
言葉の使い分けを整理します。
- 住宅宿泊事業法=届出。年間180日の上限があり、住宅への該当性が前提
- 旅館業法=許可。これが本来の「業許可」。通年営業が可能で、施設検査と構造設備基準がある
- 特区民泊=認定。国家戦略特区の区域内に限られ、一定期間以上使用させることなどが要件
- 登録は住宅宿泊管理業者と住宅宿泊仲介業者のもの。オーナーが取るものではない
- 届出書に書く登録番号は、委託先が持っている番号
制度の名前より先に決まるのは、物件の場所と、通年で営業したいかどうかです。そこが決まれば、必要な手続きは自動的に絞られます。逆に、手続きの名前から入ると迷い続けます。
本記事は2026年9月時点の情報です。制度の適用は物件の所在地や条件によって変わります。自治体の住宅宿泊事業担当窓口と保健所で、必ず最新の取り扱いを確認してください。
どの制度で進めるかは、物件の立地と営業したい日数で決まります。ご自身の場合にどれが当てはまるのか、判断がつかないところはお気軽にご相談ください。平均稼働率89%・630室の運営を通じて見てきた実務の観点から、確認すべき点をお伝えします。
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